俺様と闘う私『一部・完』
 ゆっくりと味を噛みしめながらサンドイッチをひと切れ食べ終えた時。


 「ねぇ、俺、山上彼方(ヤマガミカナタ)ってんだけど、あんたは?」



 と尋ねられた。



 名乗ってくれたのに、返事しないのは失礼だ。


 そう思った私は素直に



 「御堂理香、です」



 言って、彼に向って初めてニコリと笑みを浮かべた。



 そんな私を見た彼は、ニヤッとした表情を浮かべて私に言った。



 「なんだ、可愛い顔できんじゃん」

 「んぐっっ!?」

 「お、おいっ大丈夫かよ理香~」

 「!?」



 可愛いなんて信じられない言葉を吐かれて、サンドイッチを喉に詰まらせた。


 その上、理香といきなり名前で呼び捨てられて、私は固まる。


 何度も言おう。


 御堂理香21歳。


 彼氏いない歴21年。


 ―――男性への免疫はほぼ無い。



 ……呼び捨てにされただけで硬直する。


 それに、私を呼び捨てにしてきたのは、まだ志貴だけだもん。
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