俺様と闘う私『一部・完』
 なんてことをクルクル考えていたら、彼の手が私の眼前でひらひらされていた。


 「おーい、理香ぁ?」

 「わぁっ!!」

 「っとに、大丈夫?」

 「え、あ、はい。大丈夫です」

 「えー、全然大丈夫そうじゃねぇしー」



 とか言いながらまたケラケラ笑う。


 そんなに私って面白いかな?
なんて思いながら彼をみると、笑いは引っ込めて笑顔だけ残して私を見つめていた。


 その瞳に一瞬ドキリとする。


 ……と、その時すーっと手が伸びてきて、私の右手がキュッと掴まれた。



 「え?」



 突然温かみを持った手を見て声を上げると



 「俺、こういう窮屈なのってあんま好きじゃないからあっち行かね?」



 クイっと手を引っ張って、視線を送った先はいわゆるテラス? ってやつだ。



 「もう陽も落ちたし、涼しいだろうからさ。あ、ちょっと食べ物持ってくか」



 ペラペラと独り言を言うや否や、パッと私の手を離して、ササッと料理を乗せた皿を片手で2皿器用に持つ。


 そしてまた私の右手を掴んで



 「行こう」



 私の返事を待つこともなく、スタスタと歩きだしてしまった。



 まぁ……いっか?



 カクテルを一気に飲んで、ふわふわした思考のせいか、抵抗することもなく私は彼に連れられて出ることにした。
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