俺様と闘う私『一部・完』
 私はまたむくれて頬を膨らませた。

 どうやら彼にかかれば、私は何をしても面白いらしい。


 その理由は私には分かんないけど……


 しばらく笑いの止まらない彼方君を横目に、私は皿の上にある料理に手を伸ばした。



 こんな奴、しーらないっ!



 笑う彼方君を余所に、私は静かに食事に没頭した。


 こんな美味しい料理を口にする機会なんて滅多にないわけだし。


 彼方君に振り回されて食べずに終わるなんて、最悪だ。



 むしゃむしゃ。


 ごくごく。



 私はひたすら無視して食べ続けた。


 いつの間にか彼方君が、笑い終えて私を見つめているとも知らずに……



 「なぁ、理香ぁー」



 私がローストビーフを口に入れて、その肉汁を堪能して満足げな表情を浮かべていたその時。


 彼方君のおどけているけども、ちょっと真剣っぽい口調で私を呼ぶ声が聞こえた。



 「ふぁに(何)?」



 もしゃもしゃ言わせながら私は返事してしまった。


 乙女的には完全ダメだろう。


 うん、私も分かってる、だから彼氏いない歴が募るんだろうって事も。


 その私を見て、これまでの展開だったら確実笑ってたはずの彼方君。


 だけど笑いもせずに私を見つめて



 「俺の彼女になってよ」



 ニッコリと笑顔でそう言われた。
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