俺様と闘う私『一部・完』
 私はまだ口をもごもごさせていたけれど、とりあえず



 「ふぁひ!?」



 おかしな返事だけは出来た。



 それでも。


 それでも彼方君は今までの笑い上戸は嘘だったんじゃないかってくらい笑顔を崩さなくって。



 「飾らない理香が、俺、好きになったっぽい」




 ゴッキュン。




 好きになった……ぽい!?



 生まれて初めての告白的な何かを受けた直後、私はローストビーフを飲み込んだ。



 気が動転して、上手く言葉が回らない。



 口の中はまだ素敵なお肉の味でいっぱいで……


 だけど私は、完全にパニックを起こしていた。



 だだだ、だって!!



 私を好きになった要素って全く持って浮かばないでしょ!?



 それにそれに!



 彼方君笑ってて気がつかなかったけど、真剣に見つめてくるその表情は反則だってくらいカッコ良くて。



 私は足は、裏にノリでもついてんじゃないのかってくらいに動かなくて。



 そうこうしてたら、彼方君の右手がスッと伸びてきて私の頬に添えられた。
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