俺様と闘う私『一部・完』
 だ、誰か……



 志貴、の



 志貴の馬鹿ぁ!!!





 頭がパニックになって、助けてって思うよりも先に馬鹿って脳内で叫んだ瞬間。




 「馬鹿かお前は」




 後ろから馬鹿と言いながら、私はギュッと抱き寄せられていた。



 私の腰には力強さを感じる腕が絡められていて……


 
 背中はポスンっと、私を抱き寄せる人の胸元に収まった。




 もちろん、この胸が誰かなんて私には分かってる。



 「し、き……ぃ」



 何にも抵抗できずにいたせいか、志貴の登場に糸が緩んで涙まじりの声で彼を呼んでしまった。



 その直後、志貴の手が私の顎を掴んでグイッと少し離れた彼方君の方を向かせた。



 そして私の右耳に志貴の唇が近づいてきて




 「断れ。お前は俺のモノだ」




 低く、囁かれた声に私の体はゾクリとした。
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