俺様と闘う私『一部・完』
 慣れないヒールなのに、突然引っ張られてこけかけた私。


 そんな私の右腕をガシッと掴んで体を支えてくれたのは、ほっそりとしているけど、男っぽい手。



 ―――って、これって……!!




 「あなたの連れだとして、俺が彼女と話をすることに何か問題が? ワタナベサン」



 志貴の引っ張るのと反対方向から私は彼方君に掴まれて動けなくなった。



 「か、彼方くんっ」




 ―――ま、まずいですよ。


 奴に対して私、しょっちゅうキレてますが……



 言っちゃあなんですが、お客様ってことは百も承知なんですが。




 志貴って人は、超のつく俺様なんですよ?




 だから、ね?



 やっぱ、そんな人にケンカふっかけてまで私と話することもないと思うんだよね? 私。



 という視線を彼方君へ送った。



 ……けど、私を見ることなく、彼方君は挑戦的な目つきのまま志貴を睨み続けていた。



 「彼方、くん? あぁ、山上先生とこの子か。何度も言うが、コイツは俺のだ。理由は以上」

 「は、はいー? ちょ、し、志貴っ」



 コイツは俺のだっていつからーー!?
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