俺様と闘う私『一部・完』
 けれど……



 「お前は病気だ理香」



 ……は?


 本人が元気っつってるのに、病気扱いってなんで!?



 抱きかかえられながらさらにパニックを起こしていたら



 「ぶはっっ! 渡辺さんっておもしろくない人と思ってたのに。意外なとこあるんすね。今日はあなたのその面白さに免じて引きますよ。
ばいばーい理香。またなーー」



 って、あなたも私を病人と!?


 という心の突っ込みが届くはずもなく。



 「うん、また、ね……」

 「黙れ」



 もはや返事もさせてもらえず黙れの一言。


 流石にカチンときたけれど、抱きかかえられたこの状態じゃ、ね?


 そんな私達のやり取りを見てまたアハハと笑っている彼方君。



 彼はやはり笑い上戸だな……そんなことを最後まで感じる羽目になった。



 彼方君と別れた後も、人前で抱きかかえられたまま私。


 恥ずかしさの極致で顔を伏せていたら、志貴は次々と周りの人に



 「連れの具合が悪いので」



 と嘘をふりまきまくっていて。


 いつの間にかホテル上階の……宿泊利用のためのフロアへと向かっていたことに私が気がついたのは



 「入れ」



 ある一室の扉前に立たされた時だった。
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