俺様と闘う私『一部・完』
 「ヒィッ! いや、だって、私だって、嫌なもんは嫌なのっ!! 初めては大事なんだから、馬鹿ぁ!!」


 ―――馬鹿ぁ!!


 で、振り返って平手打ちをかまそうとした瞬間。



 バシッ



 志貴の左手で、私の平手は呆気なく止められて、奴の顔面を取り押さえ損ねた。



 そんな私を、明らかに。


 そう、明らかに可哀そうな子を見る目つきで、志貴のグレイの双眸が少し細くなって



 「落ち着け、馬鹿。俺が言ってるのは靴だ」

 「はっ……?」

 「足、痛いんだろうが」



 言うや否や



 「手がかかる」

 「ひぎゃああぁああっ」



 私を肩に担ぎあげたかと思ったら、パッと私の両足からヒールをもぎ取り、部屋を縦断して私をベッドへ放り投げた。
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