俺様と闘う私『一部・完』
要約すると……
全てのことが恐くなったから、らしい。
リストラされたばかりで、精神的に不安定だった上に、人を轢いてしまったという事態。
車の任意保険未加入どころか、車検も切れたばかり。
轢いた瞬間に、電話しなきゃと思って握りしめた携帯は、瞬間に自分の今後を想像して暗い車内に落としてしまい。
落ち込んでいく心のまま、彼はその場を立ち去った―――
その行動は、ハッキリ言って
「自分勝手」
黙っておけって言われたけど、ポロリと声が漏れた。
言った後にこみ上げてくる涙。
この人がもし、その時電話をしてくれていたらおばあちゃんは助かったんじゃないだろうか?
考えたって仕方がないもしもが、私の脳裏を過る。
涙を零さないようにギュッと目を瞑ると、当り前みたいに握りこまれたままだった手に、力が込められて志貴の温もりを感じた。
昏い闇に引きずり込まれそうになる精神に、少しだけ光を感じた。
「本当に、そのとおり、です……」
項垂れたままの彼は、そう零して。
嗚咽を漏らしながらそこで号泣した。
店の人がビックリした表情をしたけれど、他のお客さんもギョッとしてチラチラ見て来たけれど。
私も志貴も、黙ってそのまま座り続けた。
私は、最後まで涙を流さなかった。
ずっと。
この人の前で泣いたりしたくなかった。
全てのことが恐くなったから、らしい。
リストラされたばかりで、精神的に不安定だった上に、人を轢いてしまったという事態。
車の任意保険未加入どころか、車検も切れたばかり。
轢いた瞬間に、電話しなきゃと思って握りしめた携帯は、瞬間に自分の今後を想像して暗い車内に落としてしまい。
落ち込んでいく心のまま、彼はその場を立ち去った―――
その行動は、ハッキリ言って
「自分勝手」
黙っておけって言われたけど、ポロリと声が漏れた。
言った後にこみ上げてくる涙。
この人がもし、その時電話をしてくれていたらおばあちゃんは助かったんじゃないだろうか?
考えたって仕方がないもしもが、私の脳裏を過る。
涙を零さないようにギュッと目を瞑ると、当り前みたいに握りこまれたままだった手に、力が込められて志貴の温もりを感じた。
昏い闇に引きずり込まれそうになる精神に、少しだけ光を感じた。
「本当に、そのとおり、です……」
項垂れたままの彼は、そう零して。
嗚咽を漏らしながらそこで号泣した。
店の人がビックリした表情をしたけれど、他のお客さんもギョッとしてチラチラ見て来たけれど。
私も志貴も、黙ってそのまま座り続けた。
私は、最後まで涙を流さなかった。
ずっと。
この人の前で泣いたりしたくなかった。