俺様と闘う私『一部・完』
 去って行く車を見て、ぼんやりと立ちすくむ。



 呆気ない、何か。


 満たされない、何か。




 結局、憎みたくても憎めないままに終わってしまった。

 


 「チェックメイト、だな……後味、良くはねぇけど」

 「ん……」



 また伸びてきた手に、いつの間にかギュッと手が掴まれていてそのまま大通りまで歩きだされた。



 小走りになりながら黙ってついて行くとタクシーに押し込まれる。



 「○○方面」



 志貴がそう伝えると、タクシーが走りだす。



 私は異を唱えることもなく、ただだんまりと座って外の景色を眺めた。



 まるで、全てが終わってしまったみたいな気持ちのままで―――
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