俺様と闘う私『一部・完』
 「ひっぅ、ック、ふぅぅ……」



 泣き過ぎて、正直顔を上げたくなくなってきた頃。


 気が短い志貴が、ついに止めにかかってきた。




 「理香。そろそろ止めろ」

 「う……ぅぅ」



 
 分かってるよ!?


 分かってるけどさ。


 止まんないときってあるでしょ!?



 自分的には止めてるんだけど、止まりきらないみたいな? ね。


 睨みたいけど、不細工になってるだろう顔を見せたくないし……



 とかぶつぶつ心の中で呟く私。



 すると何を思ったか志貴はやたらとギュッと抱きしめて来た。



 「ケホッ、志貴っ、ヒック。苦し、い」

 「お前さ」



 私が苦しさを訴えるのに、それに反した凛とした声を私の耳元で震わせる志貴。



 何度も言うけど。

 御堂理香21歳。

 彼氏いない歴21年。

 男耐性ほぼ皆無。



 抱きしめられてる今の状況だけでも十分にパニックな訳で。



 それなのに、耳元で話すとか反則っっ!



 私はギュッと込められる腕になすがままで、志貴のいい香りがする首筋に顔を埋める。


 真っ赤になって、徐々に熱を持つ頬が志貴の鎖骨にひっつくからそれが余計に恥ずかしい。


 ギュッと目を瞑ると、志貴はそんな私を余所に話を続けた。


  
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