俺様と闘う私『一部・完』
 「言いたいことがある」

 「ぁ、によ?」



 緊張しすぎて、心臓ばっくばくで、何よってハッキリ言えなかった。


 いつもならお前何言ってんの? くらいのツッコミを受けそうなのに、どうやら今はそういう展開は待っていないみたいで……



 「俺にしとけ」

 「……は?」

 「山上なんて、選んでんじゃねーよ」

 「やまがみ? あー、彼方、くん?」

 「名前呼ぶな」

 「なっ!?」



 むっちゃくちゃだ、この人。


 突然彼方君の名前出して、こっちが誰か思い出すために名前上げただけでこのブチ切れよう。


 自己中極まりないし。


 いっつもとばっちりでキレられる私の身にもなって欲しいわ。



 ……って、無理だろうけど。



 「それから、今の仕事も止めろよ」

 「はあーー!?」
 



 流石に話の流れが意味不明すぎて、顔を上げた。


 奴の頭を掻っ捌いて見れるものなら見てみたい。


 どういう回路を経過したら、私が職を失うに繋がるの!?

 
 見せたくないと思っていた、ぶっさいくだろう顔を惜し気もなく上げると



 「不細工」



 深いグレイの瞳が笑みを浮かべながら、奴は最も言ってはいけないその一言を放った。

 
 むぅっと頬を膨らませて睨んで



 「どうせっ」「お前が笑ってると、ムカつく」



 は……!?



 人の言葉ぶった切っておいて言うことがそれ?


 もう、こいつ意味不明。


 お願いだから、脳味噌見せて。


 そう叫びそうになった瞬間





 「俺以外の奴に笑ってんじゃねーよ」




 わけ分かんないくらいに切ない顔して、んでもって、私を愛しそうに見つめた。
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