俺様と闘う私『一部・完』
 私は、この自己中男に最初からめっぽう弱かった。


 言い合って、威嚇しまくって。


 だけどドキドキばっかりさせられて。


 いつのまにか温かくて、安らげる場所が奴の隣になってた。


 仕事かなぐり捨てて、人のこと勝手に首突っ込んで。


 そんでもって、ほんとに犯人捜してきたり。


 何にも言わずに家に連れ込んだかと思えば、泣いていいって言ったり。


 彼方君の名前を言っただけで怒ったり。

 
 怒らせてくるし、笑わせてくれるし、泣かせてくれるし。


 ほんとにむっちゃくちゃ。




 それなのにコイツは、私のことむちゃくちゃ振り回しておいて挙句、好きだとか言う。


 ほんとに、無茶苦茶……



 ん?




 好きだ―――!?




 「!?」




 顔を上げると、そこには最早キレそうな顔の志貴様。



 とにかく恋愛に疎い私は、ようやく志貴の考えろって言われた意味が分かって顔を上げたわけなんだけど。


 どうやら、志貴の中で私に与えられた時間は終わりを告げたようだった。




 「理香、言え」

 「え……っと、ね」



 
 言葉になんなくて、パニックを起こす私。


 
 えと、だから、聞かれてることって、それって―――




 「遅い」




 あ、やっぱ待ってくれないんだ。
 


 そう思った瞬間。



 「バカ理香」



 
 小さくそう言いながら


 私の唇は塞がれた。


 でもその唇はちっとも嫌じゃなくて……



 好きだともなんとも言えなくなった私は、ギュッと志貴の背中に手を回した。




 こんな男。


 こんな無茶苦茶な男。




 好きになるしかないじゃないかっっ!!
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