俺様と闘う私『一部・完』
 ゆっくりと唇を触れあわせてキスをされる。


 こないだみたいな一瞬じゃないキス。


 志貴の温もりを感じて、私の温もりが志貴に伝わる。

 
 男の人の唇も柔らかいってホントだな……


 って、感じられる程度に、私の思考は少しだけ落ち着きを見せた。



 ケ、ド―――



 「んんっ!!」

 「もっと開けろ」



 少し離された唇に、息継ぎをしたくて少しだけ口を開けた瞬間。


 差し込まれた舌と、再びくっついた唇。



 ひゃっっ!
 
 ちょ、無理っっ!

 私、初心者!!



 そう伝えたくて、回した背中の手でばしばし叩くと


 プチュ



 と音を立てて唇が離された。



 糸が繋がったまま離れない距離で志貴が私を睨む。



 「無理……ぃ」




 涙交じりに睨み上げると、はぁーとため息を付かれた。




 「俺のが無理」

 「は、ぁ?」

 「お前は黙って慣れろ」

 「何そっ……んんっっ!!」




 また塞がれる唇。




 むちゃくちゃすぎる、こんな奴。
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