俺様と闘う私『一部・完』
 奴の行動に、いちいち苛立ちを募らせていたら……


 奴は私の手をパッと離していきなり家の中に入って行った。



 ―――マイペースすぎる。



 またしても私は玄関で待ちぼうけをさせられ、程なくして奴は玄関に戻ってきた。



 手に先ほどは無かった封筒を持っていて、私に向けて徐(おもむろ)に差し出してきた。



 「受け取れ」

 「何コレ」

 「あ?」



 イラッ……!


 いちいち上からなその態度にムカつきすぎる。


 私は黙って封筒を(もちろん睨みつけながら)受け取り、中身を取り出すと5万円が封入されていた。



 「今月分。商品代は別途請求しろよ」

 「……」



 ムカつくけど、


 ムカつく奴なんだけど。


 サラッとお金用意してきて、しかも封筒に入れてくる丁寧さとか。


 そういうのは凄いって思う。



 でも、でもね。



 私にだって言いたいことはある。




 「ねぇ、どうしてそんなに偉そうなの?」

 「俺が偉そう? 実際、偉いだろ」




 …………


 ですよね。


 こういう方でしたよね。




 私はこの瞬間、奴との契約を早まったんじゃないかって後悔し始めていたけど……



 多分、手遅れかもしれない。
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