俺様と闘う私『一部・完』
 はぁぁああ!?


 なんであんたが偉いのよ!!



 ―――と、勿論私は言ってやったんだけど……



 「俺は、お前の契約者だ。主人は偉いんだよ、馬鹿理香」



 と反ってきた。



 ぐうの音も出ないってこういうことなんだろうか。



 私はお金に魂を売ることにして、もう奴の言い草に踊らされるのを止めた。



 ―――というより。


 もうキレるということに疲れた。


 それほどに、私の精神は奴との対面で疲弊していた。




 「志貴だ」

 「は?」

 「名前」



 精神の疲弊した私に、突然話し始める奴。


 何? 名前……?


 「しき?」


 「ひらがな読みしてんじゃねぇ。志(こころざし)に貴族の貴だ。」

 「はぁ……名前まで偉そうだし」



 ボソッと呟いたけど、地獄耳の奴には聞こえていたようで……



 「なんか言ったか?」



 速攻睨みつけられた。



 あのグレイで睨みつけられると、まるで般若の面でも被ってんじゃないかってくらいの怖さがある。


 「別に、なんっでもございませーん」



 内心ビビりながらも、しれっとした表情で言ってやると



 「……まぁいい」



 それで終わらされた。


 ため息をつく奴に、なんとなく勝ち誇った気持ちになり、少しだけ口角を上げた。


 勿論、ばれないように一瞬だけだけど。
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