俺様と闘う私『一部・完』
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 そもそもこんなことになったのも、今までお世話になっていた渡辺さんご夫妻の元へ、日本一名高い乳酸菌飲料を配達しに来ることになったからだ。



 それがこのマンション……否、億ションかもしれないここへ配達することになったキッカケだ。


 もちろん、渡辺さん夫妻に対して恨みの気持ちは一切ないし、どこまでも私を贔屓してくれる優しいご夫妻のことを私もとても好きだ。

 

 だから奴に出会うことに至った経緯については、彼ら夫妻に対する恨みは微塵もない。




 ―――けれど


 確実に切っ掛けを生んだのは彼らだという事実は消せないモノである。
 



 渡辺さん夫婦は、つい最近まで私の家の近くに住んでいた。



 ここからもそう遠くない場所にある一軒家。



 家屋としては特段汚くもなく綺麗にされており、わざわざ引っ越すような理由はなかったのだけれど……



 
 奥さまの方が体を悪くしてしまい、2階建ての家での生活が少し不便になってしまった。



 それでも大丈夫と言っていた矢先、息子の起業が上場している上、宝くじが当たったというなんとも素敵な出来事が立て続けに起こったとかなんとかで、この新築の高層マンションに引っ越そう!



 ……という流れになった次第らしい。



 購入経緯に至っては近所のおばさん情報だから胡散臭いけど。
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