俺様と闘う私『一部・完』
 二人でそれぞれに稼いでくれば、余裕があるとは言えないけれどある程度の収入にはなる。

 私も都合があえば、単発のバイトにも出られるし……それなりのおこずかいも出来て苦労はしていない。


 
 ―――と言っても、私には贅沢したいほど欲しいものもなかったから足りるんだろうけど。




 さて、明日から奴のとこにも行かなくちゃだから、回る経路の確認をもう一度しておこう。


 仕事のことを考えつつ、おばあちゃんの部屋を覗いて様子を確認する。



 落ち着いた様子で寝ているらしく、私は声もかけずにそっとふすまを締めた。



 こうやって安定しててくれればいいんだけどな……と思いつつも、元気でいて欲しいと願う。



 リビングに戻り、お母さんの作ってくれた昼ご飯を一人で温めて食べ始めた。




 毎日に不満があるわけじゃないけれど……



 なぜか少し、一人の今が今日は寂しく感じた。



 意識を変えようと、ふと奴のことを思いだす。



 そして思いだせば出すほど苛立ちを再燃させた。




 だけど―――どこか奴を嫌いになれない自分に気が付いて、複雑な気持ちになった。
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