俺様と闘う私『一部・完』
そして引っ越しを機に、宅配は中止になってしまった。
顧客商売が大事な私としては大事なお客様が失われることは残念だと感じたけれど、遠方まで来てもらうのは申し訳ないと言われてしまったことと、こちらの事情も同じところに理由があって諦めた。
結果、渡辺さん夫妻に会うことがなくなったのだ。
ところが引っ越して2週間後……
私の所属する事務所に1本の電話が入った。
「あの、御堂さんいらっしゃる?」
御堂理香21歳。
御堂は私しかいないので、当然私宛ての電話……ということだ。
「はい。私が御堂ですが? どちら様でしょうか?」
「あー!! 御堂さんね。よかったぁ、渡辺です。ご無沙汰してます」
「渡辺さん? お久しぶりですね! 新居の方はいかがですか?」
「ありがとう、快適に暮らしているわ。でもね、実は御堂さんにお願いしたいことがあって……」
明るい調子で話していた奥様が、申し訳なさそうに本題に入り始めた。
「あのね、やっぱり商品を届けて欲しくて……お願いできないかしら?」
と話し始めた。
売り手冥利に尽きるお誘いだ。
顧客商売が大事な私としては大事なお客様が失われることは残念だと感じたけれど、遠方まで来てもらうのは申し訳ないと言われてしまったことと、こちらの事情も同じところに理由があって諦めた。
結果、渡辺さん夫妻に会うことがなくなったのだ。
ところが引っ越して2週間後……
私の所属する事務所に1本の電話が入った。
「あの、御堂さんいらっしゃる?」
御堂理香21歳。
御堂は私しかいないので、当然私宛ての電話……ということだ。
「はい。私が御堂ですが? どちら様でしょうか?」
「あー!! 御堂さんね。よかったぁ、渡辺です。ご無沙汰してます」
「渡辺さん? お久しぶりですね! 新居の方はいかがですか?」
「ありがとう、快適に暮らしているわ。でもね、実は御堂さんにお願いしたいことがあって……」
明るい調子で話していた奥様が、申し訳なさそうに本題に入り始めた。
「あのね、やっぱり商品を届けて欲しくて……お願いできないかしら?」
と話し始めた。
売り手冥利に尽きるお誘いだ。