俺様と闘う私『一部・完』
名字ならあるけど、志貴って下の名前なんだもん。
名字なんて別に知らなくていいって言って教えてくれなかったから。
だから。
ほんとにいまさら何だけど……
恥ずかしすぎて、名前の呼び捨てなんて出来ない。
『し』で止まったままの志貴の名前。
私は恥ずかしさと緊張のあまり、真っ赤になって俯いた。
不思議そうに赤くなったり青くなったりしている私を見た奴は
「くっくっくっ……腹、痛ぇ……」
ようやく私が固まっている理由を察したようで、笑いながらお腹を押さえていた。
―――悔しい!
こんなことでこんなに笑われるなんて!
で、でも……
悔しいけど、恥ずかしいものは恥ずかしいんだもんっ。
もう……どうしたら、いいの?
混乱と悔しさのあまり赤い顔のまま涙を滲ませると
「バカ理香」
いきなり顎を掴んで顔を上げさせられた。
「泣くな、んなくらいで」
「なっ、な、泣いてなんかっ」
一生懸命零れそうになる涙を引っ込めて、右手の手のひらでグイっと拭うとキッと睨んだ。
そうして、今までにないくらいの近距離に奴の顔があるのに気づいて……
昨日見た、深くて綺麗なグレイの双眸に睨み顔の私が写るのが見えた。
名字なんて別に知らなくていいって言って教えてくれなかったから。
だから。
ほんとにいまさら何だけど……
恥ずかしすぎて、名前の呼び捨てなんて出来ない。
『し』で止まったままの志貴の名前。
私は恥ずかしさと緊張のあまり、真っ赤になって俯いた。
不思議そうに赤くなったり青くなったりしている私を見た奴は
「くっくっくっ……腹、痛ぇ……」
ようやく私が固まっている理由を察したようで、笑いながらお腹を押さえていた。
―――悔しい!
こんなことでこんなに笑われるなんて!
で、でも……
悔しいけど、恥ずかしいものは恥ずかしいんだもんっ。
もう……どうしたら、いいの?
混乱と悔しさのあまり赤い顔のまま涙を滲ませると
「バカ理香」
いきなり顎を掴んで顔を上げさせられた。
「泣くな、んなくらいで」
「なっ、な、泣いてなんかっ」
一生懸命零れそうになる涙を引っ込めて、右手の手のひらでグイっと拭うとキッと睨んだ。
そうして、今までにないくらいの近距離に奴の顔があるのに気づいて……
昨日見た、深くて綺麗なグレイの双眸に睨み顔の私が写るのが見えた。