俺様と闘う私『一部・完』
 私、御堂理香の俺様志貴への宅配の日々はこんな始まりだった。



 ……んだけど。


 奴は朝、機嫌が頗る悪い。



 3日目にして耐えきれなくなった私はある提案をした。




 「ねぇ、そんなに不機嫌ならもうちょっと時間ずらして来ようか?」



 大体9時に来なきゃいいんだ。


 ―――これって名案!


 と閃いたんだけど……



 「バカか。誰が俺を起こすんだよ」

 「はっ?」

 「お前がチャイム押さなきゃ、目覚ましにならんだろうが」



 ……オイ。


 私は目覚ましだったのかよ!!



 と間髪入れずに激しくツッコみたかった。


 けど。


 私は志貴には逆らっても無駄、と重々理解し始めていたので



 「―――ですよね」



 と諦めて返答した。


 バカと呼ばれるのは茶飯事のことなので、キレることもない。



 ―――あぁ、私って大人。



 そう思うことでめげずに頑張る。


 ちなみに私が勧めた商品はお気に入りのようで、毎日きちんと飲んでいるようだ。


 この男があの小さなアレを飲む姿。


 ―――想像できない。
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