俺様と闘う私『一部・完』

夜会

 「ねぇ御堂さん。あなたずいぶん細いけど、しっかり食べてる?」



 と聞かれたのは、志貴と気まずい再開をした翌日……


 火曜日の宅配の時のこと。


 渡辺さんの奥様が突然そんなことを言い出した。



 「え、細い、ですか?」

 「私なんかこんなだから、あなたを見てると心配で……」



 なんて、少しばかりふくよかな体を見てそう言った。


 長い間宅配を渡辺さんにしてきたけれど、今までそんな風に体型のことなどを言われた記憶がなかったので、少し面食らった。


 けれど、心配してくれているのは感じ取れたので、特に深く考えもせず話を合わせた。



 「あははっ、大丈夫ですよ。これでもサイズはSですし、服だって7号くらいですよ? 私の身長なら普通ですから」



 と明るく答えた。



 太くもないけど、どうしようもないくらい細いわけでもない。


 それを聞いた渡辺さんはやけに嬉しそうな顔をして



 「あらそう? じゃあいいんだけれど。じゃあまた来週もよろしくね」

 「はい、ありがとうございましたー」



 いつも通りに挨拶して次の宅配先へと向かった。
< 75 / 213 >

この作品をシェア

pagetop