俺様と闘う私『一部・完』
 ―――つ、ついに来てしまった。



 土曜日、なかなか眠りにつけなかった私は、無駄に朝6時から起きた。


 なんで私が志貴のせいで眠れない上に、こんな苦痛を強いられなければならないんだろうか……?


 思い起こせば、先週私が倒れたことに起因してるんだけど。


 もし先週の私の元へ行けるなら、速攻で行って「這ってでも帰れ!」って自分に言ってやりたい。



 ……なんて妄想をしても、どうしようもない。


 私は渋々起きて朝食にすることにした。



 一番の難関は、あの母。



 私はまだ言ってなかった。



 『泊まりで出かけます』と。



 口が裂けても言えない。



 ―――それが男の元だなんてッ!



 どうしても良い言い訳が浮かばずにここまで来てしまい、私は肩が下がったままだった。


 

 と、よれよれした感じで朝食にしていたら



 「りーかーちゃーぁん」



 不気味なくらいテンションの高い、嫌に粘っこく人の名前を呼ぶ声が耳元で突然聞こえた。



 「ひやぁあああっっ!!」



 丸まっていた背中が思わずびくぅっ! と震えて伸びた。


 ボンヤリしすぎていて、背後に母が立つ気配を感じていなかった。


 いまだ心臓が意味不明な驚きでドキドキしている私を余所に、母は嬉しそうな顔で私の正面に座った。
< 79 / 213 >

この作品をシェア

pagetop