澄んだ空の下で

「ごめん。…やっぱ変な事聞いちゃったね」

「別に。…つかさ、アンタって果物好き?」

「…へ?」


突然話の内容が変わったことに思わず声が裏返る。

やっぱ、この人はいつもそうだ。


話を突然変えるのが上手いらしい。


と、言うか…

掴めない人。


「だから果物」

「くだ、もの?」

「そう」


ヒョイと身体を起した恭は乱暴に髪を掻き乱してあたしに視線を向ける。


「ま、まぁ…食べるけど」

「そう。だったら来いよ」


スッと立ち上がった恭は両手をポケットに突っこんだまま階段に向かってく。


来いよって、何処に?

茫然と見つめるあたしに、恭は立ち止まって顔だけを振り向かせる。


「来ねーの?」

「……」


そう言った恭はさっきよりも表情を少し崩して身体ごとあたしに向ける。


「あー…そっか。俺と居る所見られちゃマズイもんな」

「あ、いやっ、」


思わず咄嗟に口が開いた。

別にそう言う意味で立ち止まってたんじゃない。


ただ、何処に行くのかと、見てただけ。

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