澄んだ空の下で

「撮ってどーすんの?」

「保存に決まってんじゃん」

「それを?」

「そうだけど。…ほら、これも綺麗でしょ?」


夕方。陽が落ちるその風景を撮った画像を恭に見せると、馬鹿にしたようにフッと鼻で笑う。


「そんないいのかよ」

「もの凄くね」


そう言った恭は少し首を捻りポケットからタバコを取り出す。


「お前さ、」


口に咥えたタバコに火を点けながら、恭は小さく呟く。


「うん?」

「お前の中身って、きっとそれなんだろーな」

「…なか、身?」


街並みから視線を逸らし、恭に向かってコクリと首を傾げる。


「そう。今が素の自分って事」

「素の…自分って?」

「まぁ、なんつーの?塞ぎこんでる感じに見えっからさ」

「……」

「でも、今日のアンタ見てこれが素かなって、…違う?」


煙を吐き出すとともに向けられた視線。

その視線を逸らす様に、遠くの街並みを見渡した。


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