澄んだ空の下で

「…さぁ、どうだろーね」


そんな事、自分に分かる訳がない。

でも、そー言うふうに見えるのなら、そうなのかも知れない。


「ま、俺が口挟むような事じゃねーけどさ」


何気にそう言った恭はまだ、吸えるタバコを揉み消しバルコニーを出る。

その通り過ぎた視界に、“じゃ、アンタはどうなのよ”って、聞きたくなった。


アンタこそ、色々塞ぎこんでんじゃんって、そう思った。


ずっと、ずっと1年前からあの場所に居るの知ってんだよ?

それに、美奈子からアンタの存在を知って、もっと知りたくなった。


何があったの?って。


そう聞きたいのに、何故か聞いちゃいけない気がした。


大空に向かって、深く息を吐き出した。

真っ黒に染まる空を見上げて、瞼を閉じる。



でも、でもね。

アンタは悪い奴じゃないって、そう思うから。


他の皆はそう思うかも知れないけど、あたしはそう思うの。


なんの根拠もないけど。



ただ、あたしの直感。





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