澄んだ空の下で
重い瞼を開け、バルコニーを後にする。
ソファーに置かれている紙袋を手にすると、
「行くか」
恭の言葉にコクリと頷いた。
相変わらず1階に降りると、ここぞとばかりに広いロビーが目に飛び込む。
マンションと言うか高級ホテルに近いその空間に、言葉までもなくしそうで。
目を見開くばかりだった。
…やっぱし、凄すぎる。
「…なんかゴメンね、送ってもらったりして」
車に乗ってすぐ、運転席の恭に視線を送る。
「いや、俺が言った事だし。つかさ、昼間停めてた所でもいーか?」
「あ、うん。いいけど」
「悪いな。ちょっと行きたい所あっから」
「うん」
「家まで送ってくから」
「えっ、いいよ別に。それくらい一人で帰れるから」
「いや、どーせそっち方向だから」
「そっか」
車が停車するまで、あたしは深くシートに背をつけて窓の外を眺めてた。
過ぎ去って行く景色に目を送りながら、ボンヤリと今日の出来事を思い出してた。