澄んだ空の下で

「…つっかれたー…」


恭が帰った時は、もう閉店だった。

結局最後の客は恭として終わったのだけど、身体の疲労はここぞとばかりに疲れてた。

久しぶりの気の使う仕事。

それに、最後の最後ので出くわした恭のお陰で、疲労はピーク寸前。


みんなが姿を消して帰る頃、あたしは個室のソファーに思いっきり倒れ込んだ。


いらない神経をつかってしまった。

こんなに疲れるとは思ってなかったけど、笑うのも面倒ってくらい顔が疲れる。


「お疲れっ、若菜ちゃん」


ドアが開くと同時に麗美さんの声が耳に張り付く。

寝転んだまま麗美さんを見上げると、麗美さんは疲れた表情など一切なく、あたしの隣に座り込んだ。


「お疲れ様です…」

「ありがとねー、若菜ちゃん。助かっちゃった」


そう言って宥める様にあたしの背中を優しく撫でる。


「助かったかどうかは分かりませんが…」

「もちろん助かったよ。このまま働いちゃえば?」

「いや、それは…」

「うん?」

「向いてないですからね、あたし。麗美さんみたいに凄くないですから」

「そう?そんな事、無いと思うけどな」

「いや、でも…」


クッと口角を上げた麗美さんを見ながら身体をゆっくりと起す。


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