澄んだ空の下で
「偶然な訳あるか。お前を待ってたっつーの」
「…え?…何で?」
「最近なんかあったか?」
「なんで?」
「なんとなく」
「別になんもないけど」
「へー…そう」
「…って言うかさ、彼女どうしたの?」
ちょっと笑みを作って言ったあたしに、恭は少しだけ首を傾げる。
「彼女?」
「ほ、ほら。夕方時、一緒にいたでしょ?」
もうヤケクソだった。
何を話せばいいのか分かんなかったから、もうなんでも会話なら良かった。
「つか、彼女じゃねーし」
「え、あぁ…そうなんだ」
「つか、何でもかんでも俺の女にされたら面倒くせーんだけど」
「ご、めん…」
と、謝ってみたものの、その意味がイマイチあたしには分からなかった。
“俺の女にされたら面倒くせー”って、どー言う事?
分かんないよ。
じゃ、なんであたしに話すの?
だから。
お願い。サエコにこの現場をみられたくない…と、そう強く思ってしまった。