澄んだ空の下で

分からない男に引っ張られながら、縺れる足を動かす。

いや、そうじゃなくて必然的に動いて行く足を止めることが出来なかった。


「…やめてよっ、」


大声で張り叫んだつもりでも、塞がれている所為が声が籠る。

抵抗出来ないようにか、腕を掴まれ、その腕がヒリヒリと痛み出す。


…なんなの、これ。


しかも一人じゃない。

見なくたっても、何人かは居る。


「……っ、」


ドンっと、無理矢理背中を押された。

両手を付いて、倒れ込むと同時に、あたしの両側に誰かの肌が触れる。


…え、車?

そう思ったのは束の間だった。


微かに聞こえる発進する音。

それと同時に、


「悪く思うなよ」


呟かれた声と同時に微かに笑う男の声。


もう、何がなんだか分からなかった。

だから、抵抗すら出来なくて、膝に顔を埋めることしか出来なかった。


誰なの、あんた達。


悪く思うな。って、どう言う事?


もしかして、恭の仲間?
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