澄んだ空の下で
「…ちょっと、いい加減にしたらどうなの?」
また母の声が開いたドアから聞こえてくる。
もう、これで聞くのは何回目だろうか。
ここ何日かベッドの中で過ごす事が多くなった。
とくに出掛ける事もなく、1日中ここにいる。
それが退屈だと思う事なく1日が過ぎ去っていく。
「アンタ、聞いてんの?また来てるわよ」
母があたしに話しかけることは、誰かが来た時だけで。
「…いないって、言って」
この言葉は何度目になるんだろう。
「そう言ってもね、居るの分かってんだから。こっちだってね、毎日毎日同じ事ばかり言うの面倒なんだけど。わざわざ足運ぶ気持も考えたらどーなのよ!」
「……」
「学校行かないんだっらさっさと辞めてちょーだい。無駄な金払ってんだから」
面倒くさそうに話す母の声が左右の耳に通過していく。
毎日同じ事の繰り返しの様に吐き捨てられる言葉も今じゃ何も思わなくなってしまった。
バタン…と鳴り響いた扉。
フーッと息を吐き出す様に、被っていた布団を剥ぎとった。
視界がボヤける。
おまけに身体が痛い。
だからなのか、無意識にまた目を閉じていた。