澄んだ空の下で
「…そこで聞いてんだろ、若菜」
「……っ、」
鋭いアオの直感に更に息を飲み込んだ。
バクバクと鳴る心臓の音が聞こえるんじゃないかってくらいにまで大きくて、それを沈めようと両手で心臓をギュっと押さえる。
「悲しくなったか?」
「……」
「アイツに何ともねーって言われて悲しくなったか?」
「……」
フッと笑うアオの悲しそうな声が何を示しているのかも分からなく、自然に視線がドアに向く。
「だから言っただろ。恭さんと係わんなって、」
「……」
「俺が何も知らねーとでも思ってんの?」
「……」
まさか、アオ。
全部、全部知ってたって言うの?
いつから?
サエコ達の事、知ってたの?
それに、何?
アオと恭はどんな関係なの?
過去に何があったの?
頭の中でグルグルと駆け巡る戸惑い。
だけど、今からドアを開けて出る勇気すらなくて、ただドア越しで見つめることしか出来なかった。