澄んだ空の下で

なんでアオ辞めてんの?


頭の中で駆け巡るのはその言葉ばかりで。

そしてふと頭の中を過ったアオの言葉。


俺さ――…


あたしの家に来た時、アオは確かに何かを言いかけてた。

もしかして、それ言おうとしてたの?


アオはその時から考えてたの?


アオが悲しそうな瞳を見せてからアオとは会ってないの。


…アオは何を考えてたの?

アオの家の前で何度もインターホンを押した。

だけど誰も出てくる気配もなく、あたしは鞄の中から取り出したスマホを素早く操作した。


何回も鳴り続ける呼び出し音。

その間、あたしの頭の中は困難だらけだった。


学校辞めて何してんの?とか。

なんでアオが辞める必要があんの?とか。

アオはあたしの事、避けてんの?とか。


変な妄想ばかりしてた。


「…あれ?若菜ちゃん?」


暫くして聞こえて来た声に一瞬ドキンと心臓が高鳴った。

耳にスマホを当てたままゆっくり振り向くと、


「どうしたの?久しぶりだね。元気にしてるの?」


微笑んでそう言ってくるアオのお母さんが居た。
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