澄んだ空の下で

「あっ…」


思わず小さく漏らす声と同時にを電話を切り、


「あの…アオは?」


低く小さな声で言葉を続けた。


「あの子ねぇ…最近帰って来てないのよ」


アオのお母さんは呆れたようにそう言った。


「帰って来てないんですか?」

「そうなの」

「……」

「ごめんね」

「いえ…」

「…若菜ちゃん、また来てね」

「はい。…今日は帰ります」


軽く頭を下げたあたしは、ボーっとしたままの頭でゆっくりと足を進めた。

その帰り途中でも気になったせいか、アオに電話を掛けてみるけど出る気配すらなかった。


その帰り道。


「おっ!若菜ちゃん!」


不意に聞こえた声にビクンと一瞬、肩が上がるもののすぐにあたしは振り返った。


「あ…、アキトくん」


アオとは腐れ縁ってやつ。

< 247 / 447 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop