澄んだ空の下で
「…美奈子?」
表情を崩して視線を落とす美奈子の顔を覗き込む。
「なんか、いけない事しちゃったかな?」
「え?」
「ほら、あの人有名でしょ?」
「有名?」
「ここの溜まり場によく来てる人なんだけど、他の人とは雰囲気が違うんだよね。だから怖いって言うか…なんか苦手」
「雰囲気、ね…」
確かに。
それは前から感じてた事なのかも知れない。
見るからに他とは別格。
髪も今時の茶髪ではなくて落ち着いている黒髪。
うっすらと茶色のメッシュが入っているものの、他人とは違うような気がしたのは確かだ。
高身長の割りにあの端正な顔立ち。
あのビルでいったい何をしてるんだろうと思ってた彼に、こんな所で出会うなんて思っても見なかった。