澄んだ空の下で
「おまたせしました…」
軽くお辞儀をすると同時に恭が視界に入る。
一瞬、目を見開いたものの、すぐに恭はタバコを咥えて視線をあたしから避けた。
…やっぱ、そうなるよね。
恭の隣にはヘルプでつく従業員。
その横にはもう一人のツレ。
和気あいあいと弾けて話してる目の前の3人に思わず視線を逸らした。
いや、3人じゃない。
むしろ和気あいあいになってるのはセナさんのツレとヘルプの人。
その横で恭は面倒くさそうに今度はスマホを取り出して。
「ねぇ、若菜ちゃんっ、」
不意に聞こえた声にハッとする。
隣に座ってるセナさんは何故か物凄くあたしに接近していた。
「はい」
「俺、セナっつーの。人気だっつーから指名したけど、予想外に可愛いね」
「え?」
「モテるっしょ?」
「いえいえ、そんな事ないですよ」
なんの会話してんだ?と思いながら笑顔で話すあたし。
「えー、マジ?男いっぱい居んじゃねーの?」
「居ないですよ。そんな風に見えますか?」
「見えるよ」
「セナさんはなんの仕事されてるんですか?」
「んー、俺?まぁ、常に女を抱く仕事って言うか優しくする仕事」
ハハっと笑うセナさんに、釣られて笑みを零す。
やっぱ軽いな、セナさん…