澄んだ空の下で

空から降りだす雨が次第に強くなってた。

ポツポツと落ちてくる雨が、強さを増し地面を打ちつける。


真っ黒な雲に覆われた空一面が、なんだか悲しく見えた。


「…行くぞ」

「え、えぇっ!?」


グッと掴まれた腕。

その腕がよりいっそう恭の温もりで熱くなる。


次第に強まる雨の所為で、車に乗った時には肌に雨が弾いてた。


「ん、」


短く切られた言葉とともにタオルを差し出される。


「ありがと」


分かんないけど、変なドキドキ感が襲う。

なんでこの人と居ると、そー言う感情が芽生えるんだろうか。


別に付き合いたいとか、そんなのはない。




それ以上一言も口を開くことなく車が進む。

話したい事は沢山あるはずなのに、口が動こうとしない。

むしろ、恭すら話してくれない。


別に、話して…とは言わないけど、この空間が嫌になる。






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