澄んだ空の下で

静まり返った車内が自棄に空気を重くさせる。

それと比べて外は、さっきから強まる雨と雷で賑やか過ぎる。


フロントガラスに打ち付ける雨が激しくて、視界を悪くする。


千沙さんが言った通り、物凄い雨。

これじゃ、外に出れやしない。


マンションの駐車場に着いた時にも相変わらずの凄い雨。

ここから走ったって、その数秒で濡れそうな雨。


雨は嫌いだった。

雨が降ったら屋上にずっと行けないから嫌いだった。


恭を見れなくなるからって意味でも、前までは好きじゃなかった。


なのに、今日の雨は喜べない。

こーやって一緒に居るのに喜べない。


とりあえず車から降りようと思った。

ここにずっと居る場合じゃないと、そう思った。


でも今度、いつ会えるのかなんて分んない…

それに叩いてしまった事をまだ謝っていないし、もっと色んな事を聞けていない。



「なぁ…」


不意に聞こえた声に心臓がドクンとなる。


「……」


視線だけ向けると、恭は小さく一息を吐き出した。



「俺にどうしろって?」

「え?」

「聞きたそうにしてる事がダダ漏れ。聞きたい事山ほどあんじゃねーのかよ」


まるで見透かされているようだった。



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