澄んだ空の下で

「若菜、答えろよ」

「…いつって言うか、会ったのはあの日が初めて。で、でもっ…千沙さんがアオの彼女だったとは知らなかった。ほんとだよ？」

「……」


視線を向けると、アオはあたしからゆっくりと視線を逸らす。


「ごめん、アオ。でも、あたしほんとに恭とツルんでたとかそんなんじゃないから！あの日も一緒に行ったんじゃないの。偶然…偶然出会ったの、ほんとだから！」

「……」


何をそんなに必死になってんだろうと思った。

でも、ただ、それだけはアオに分かってほしかったのに。


「それに、アオが思ってる程、恭は悪くないよ？」


会わない方がいいとまで言われたのに何であたしは恭を庇っているのだろう。


分かんない。

もう自分が分かんない。


「……」

「アオ、千沙さんに会った？」

「……」

「だったら恭が千沙さ――…」

「つか、隠す時点で裏切りっつーんじゃねーの？」

「アオっ…」


裏切りって。

あたしも、恭も、そんなんじゃないの…


「お前も…何で分かった時点で俺に言わねーの？お前も共犯者な訳？」


きょ、共犯者って…


「…ごめん、そんなつもりはない。ただあたしが口出しすることじゃない――…」

「つか、帰るわ」


話にウンザリしたのだろうか。

面倒くさそうに背を向けたアオはため息をつきながら明るく染まった髪を乱暴に掻き乱し、あたしの前から姿を消した。