澄んだ空の下で

言えば良かったんだろうか。

なんて思った。


でも、千沙さんと恭の話してた言葉を思い出すと、アオに言う選択技なんてなかった。


どっちの味方で…とかなんて考えた事もなくて。

今更ながらに、二人の問題に係わんない方が良かった。なんて思った。


でも、あたしにはそれが無理だったんだと思う。

アオは昔からの仲で、離れられなかった存在で。

恭はあたしがもっと知りたいと思った人。


その二人の関係が割れちゃうのが、嫌だった。


…ただ、それだけ。


なのに、なんでこんな事になってしまったんだろう…


不意に鳴りだしたスマホ。

鞄の中から取り出し画面を見つめると、美奈子の文字。


「…はい」

「あっ!若菜ちゃん?どうしたの?具合でも悪い?」

「え?」

「もう約束時間1時間は過ぎてるから」

「あっ、」


美奈子との約束。


「大丈夫?」

「あ、ごめん。もう近くに来てるからすぐに行く」

「うん。待ってる」


電話を切った後、あたしは急いで美奈子のママの店まで走った。


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