澄んだ空の下で
「えっ!?あそこまで自転車で行く気?」
「あぁ」
「無理でしょ?あんな遠いところまで行けないよ」
「行けるから行くんだろーが」
「わざわざ自転車でいかなくても…」
「自転車で行くからいーんだって」
“いくぞ”
グッと腕を掴まれ、あたしは必然的に恭について行く。
マンションまで着くと、あたしは急いで自転車の鍵をとりに行った。
リビングに入るとまた荒れた光景。
毎日、毎日よくこんなに散乱するよね。って、言いたくなる。
その光景から目を離し、あたしは鍵を掴んで恭の所まで走った。
「おまたせ――…」
「…それは俺が決める事だろ。親父がなんて言おうが周りがなんて言おうが俺には関係ねーよ」
「…っ、」
あぁ。タイミングが悪すぎたかもしれない。
ため息交じりに話す恭の態度がいかにも面倒くさそうで、思わず少し身を引いて目を伏せてしまった。
さっき恭に話された色んな事が脳を過る。
どうしたらいいの、あたし。
「…あったか?」
「え?」
不意に聞こえた声に慌てて視線を向ける。
「鍵」
「うん」
恭は手に持っている鍵を奪うと、自転車に跨った。