澄んだ空の下で

最寄駅に着いた頃には辺りは殆ど静まり返ってた。

大都会でもなければ田舎でもない街。


ここでお姉ちゃんはずっと住んでたんだ。

家を飛び出してから、ずっと…


「お姉ちゃん…ほんとゴメン。着いて来たけど…」

「別にいいけど。あたしも若菜の事気になってたから」

「うん」

「着いたよ」


見上げる先には七階建の小奇麗なマンション。


「へー…綺麗な所だね」

「建ったばかりだからね」

「そうなんだ」

「ただいまー」


ドアを開けた瞬間、お姉ちゃんは疲れ切った様子で声を上げる。

奥から足音が微かに聞こえた瞬間、何故かあたしは身を隠してしまった。


「おかえり。迎えに行くつもりで電話したんだけど」

「あぁ。ごめんね、気付いてないや」

「早く入れよ」

「あー…ちょ、アンタ何してんのよ」


そう聞こえた声に顔を向けるとお姉ちゃんは玄関から顔を出した。


「いいのかな?」

「じゃなきゃアンタどこで泊まる気?」

「だよね」


そう言われて、恐る恐る顔を出した。



< 390 / 447 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop