澄んだ空の下で
最寄駅に着いた頃には辺りは殆ど静まり返ってた。
大都会でもなければ田舎でもない街。
ここでお姉ちゃんはずっと住んでたんだ。
家を飛び出してから、ずっと…
「お姉ちゃん…ほんとゴメン。着いて来たけど…」
「別にいいけど。あたしも若菜の事気になってたから」
「うん」
「着いたよ」
見上げる先には七階建の小奇麗なマンション。
「へー…綺麗な所だね」
「建ったばかりだからね」
「そうなんだ」
「ただいまー」
ドアを開けた瞬間、お姉ちゃんは疲れ切った様子で声を上げる。
奥から足音が微かに聞こえた瞬間、何故かあたしは身を隠してしまった。
「おかえり。迎えに行くつもりで電話したんだけど」
「あぁ。ごめんね、気付いてないや」
「早く入れよ」
「あー…ちょ、アンタ何してんのよ」
そう聞こえた声に顔を向けるとお姉ちゃんは玄関から顔を出した。
「いいのかな?」
「じゃなきゃアンタどこで泊まる気?」
「だよね」
そう言われて、恐る恐る顔を出した。