澄んだ空の下で
「こんばんは」
「あ、…え?もしかして妹?」
「すみません、お邪魔して…」
軽く頭を下げた先に見えるのは、物凄く端正な顔をした彼だった。
お姉ちゃんには勿体ない…なんて事は言えないけど雰囲気が何故か恭と被ってしまった。
だからここに住むのはもうないだろう。と一瞬にして思ってしまった。
「ごめん。この子、今日だけ泊めてもい?」
「あぁ、いいよ。何もねーけどゆっくりしていきな」
「ほんとすみません…」
申し訳なく思いながら、次の朝を向かえてしまった。
起きた頃には仕事に行ったのか、お姉ちゃんの彼はもう居なかった。
そして何気に見たスマホに一瞬にして顔を顰める。
何事だと思うくらいの美奈子からの着信とLINE。
“どうしたの?”
“学校は?”
“若菜ちゃん、今どこ?”
“体調悪いの?”
溢れ返る文字に思わずため息が出た。
昨日、美奈子のママの店から突然帰ってしまった所為なのか美奈子はカナリ心配している様子がもの凄く伝わる。
もう既に時刻は10時になろうとする。