澄んだ空の下で

「…人は裏切るから嫌い」


ポツリと呟いた言葉に、美奈子は「あたしは裏切らないよっ」って、あたしに駆け寄った。


「裏切らない。あたしは若菜ちゃんの事裏切らない。若菜ちゃんの事、凄く大切だし友達だよ?」

「みんなそう言うよ。口だけの友達って。ほんとに友達ってなに?ただの飾りじゃん。必要な時だけ使って後は捨てる」

「…若菜ちゃん」

「でも美奈子は違った。ほんとはさ、アンタの事も嫌いだった」

「うん。…なんとなく分かってたけど」

「でも、今は美奈子の事、好きだよ。アンタと居て、いっぱい救われた気がする。ありがとう」

「ううん。あたしだって、若菜ちゃんにいっぱい助けられたから。だからこちらこそありがとう」


ニコッと微笑んだ美奈子はキッチンを片付けていく。

テキパキと動いて片付ける美奈子に一息吐いた。


「いいよ、そんな事しなくても」

「大丈夫。あたしこう見えても片付け好きなの」

「何それ…」


美奈子の顔が笑みに変わった。

その笑みに何度救われたのだろうか。


「…あたし、やっぱり学校辞めようかな」


やっぱり卒業まで待てない…


「えっ!?何で?」

「言ったでしょ?何もかも嫌になったって…、もうほんとに嫌」

「やめてどうすの?」

「この街を出て働こうかな」

「今、やめたら勿体ないよ?若菜ちゃんだって、卒業したらって言ってたでしょ?なのに何で急にそんな事いうの?」

「もう、どうでもよくなった」

「なんで?何でそんな事言うの?なんで逃げようとすんの?」

「逃げる?」

「そうだよ、そう言うのって逃げてるって言うんだよ!」

「…そうかもね」


美奈子に言われて、そうかもって思ってしまった。

そう思われても仕方ない。

この街に居ると、余計に思い出したくないものまで思い出し、辛い。

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