澄んだ空の下で
「…若菜ちゃんっ、」
「わっ、」
勢いよく飛びついてきた美奈子に一瞬顔を顰める。
「若菜ちゃん、おはよ」
「もービックリすんじゃんか」
「蒼斗くんとなんかあった?」
不安そうに顔を覗き込んでくる美奈子に小さく首を振る。
「それより昨日はごめんね」
「ううん。謝らないで。…一緒に卒業しよう」
「うん」
美奈子と約束をした。
約束なんてただの口約束だけだと思っていたけど…
何故か美奈子の為に卒業しなくちゃって思ってしまった。
あれから。
恭に振られて出て来たまま、時間が刻々と過ぎて行った。
気付けば一月。
あれから恭と一度も会ってはいない。
そしてあたしも、あの屋上に行くことはなかった。
特に何もない日常があたりまえになっていて、その日常が普通の日々で。
昔に戻ったみたいだった。
ただ違うのは屋上に行っていない所為で恭の姿を見る事はないだけだった。
恭と出会った日々はいったいなんだったんだろうって、そんな事を考え。
こんなにあっさりと終わってしまう事に、虚しく感じ。
気持ちの感情のコントロールが出来ないまま、時が過ぎ。
忘れようって、必死で思っていたのに、まだ心の中に恭が居た。