澄んだ空の下で

「千沙さんは?」

「えー、あたしが行ってどうすんのよ。今からね蒼斗と会うから」

「えっ、より戻ったんですか?」

「ううん。友達だよ」

「どうして?お互い好きなのに?」

「二人で決めて、二人で納得したから」

「そんな…」

「こー言う恋もあるんだよ?もう早く若菜ちゃんは行って!セナが待ってる」


前から思ってた。

千沙さんは結構強引。

だからその勢いに乗ってしまって気づけばセナさんの車の隣。


「まじさむっ、分かる様に窓開けてたんだけど、すげー寒かった」

″乗れば?″

付け加えられるように運転席から助手席の扉を開けるセナさんに、どうしていいのか分からなかった。


「つか寒いから早く乗って」

「……」


急かされるまま乗ってしまった助手席。


「久しぶり。元気にしてた?」

「まぁ…なんとか」

「ははっ、なにその反応。元気じゃねーって顔だな」

「セナさんは相変わらず元気そうで」

「うん?俺?俺は元気だよ。でも恭は元気じゃないね」

「…っ、」

「心に穴が開いてる状態。昔から何もかわってねーの。俺の誘いもよく断るしよ、だからと言って女とも遊んでねーし」

「恭…引越したってホントですか?」

「あぁ、千沙から聞いた?」

「はい」

「うん、そうだね。多分、若菜ちゃんビックリすると思う」

「なににですか?」

「うーん…今から連れてってあげるから。恭に会って来なよ」


そんな事言われてもな。

会って、何するの?

だけどそんな事を思っていても、もう車は進んでいて。


「…やっぱり、辞めます。行くの」


どうしたらいいのか分からないまま小さく呟いた。

行って、どうするの?


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