澄んだ空の下で
空を見上げると、次第に暗くなり始める。
分厚い雲が薄い水色を消して行く。
…雨が、降りそう。
「…あっ、スマホ」
ふと思い出したスマホ。
雨が降りそうだからか、真向かいのビルにはいつもの彼は居なくて、仕方なくあたしは階段を降りて行く。
超時間居た所為か、地上に降りると学生たちが帰る頃になっていた。
だから、来るだろうと思っていた彼の存在。
真向かいのビルの真ん前で暫く待っていたけど、現われなかった。
どうしようと。ふと、思った時に浮かんだもう一つの場所。
そこに向かったあたしは、扉の前で一息吐いた。
この地下には美奈子のお母さんのお店。
そう、美奈子のお母さんの顔が浮かぶと、なんだか申し訳なさを感じてしまった。
アオが言った通り、言い過ぎたかもしれない。
初めてドアノブを手にする扉に緊張が走る。
溜まり場と言ってた美奈子。
ここで、待ってみようかとも考えたけども、早くここから帰りたいってほうが強かった。
意を込めて、ドアを開くと、そこはまた別世界のような雰囲気が広がってた。