澄んだ空の下で
「まぁ、ただ単に落ち着く所が好きなだけ」
そう言って恭はフェンスを背にしゃがみ込む。
そのまま胡坐を掻いた恭はズボンから取り出したタバコを口に咥えた。
「ねぇ、アンタってさ。人間嫌い?」
あたしの言葉にタバコに火を点けた恭がフッと鼻で笑った。
「何で?」
「そう思っただけ」
「ふーん…。まぁ、間違ってはいねーけど…」
「そう。…あたしは嫌い」
そう小さく呟いたあたしはフェンス越しに街並みを見渡した。
「つか、何が言いてーの?」
「さぁ、なんだろう」
「変な奴」
「それはアンタでしょ?ここから真向かいに居るアンタを見てたらそう思った。自分に…周りに関心なさそうって…」
「……」
「あたしもそうだけど、こんな所に居るくらいだからそうだろうって。…自分に興味わかないの?」
こんな事を聞いてどうするんだと。
ただ、それは自分に答えがないから恭に問いかけてたんだと思う。
無関心な自分が、この先どうなるんだろうって、少なくともそう思った。
だから求めてしまったんだ。