澄んだ空の下で
「そんなもん、わかねーよ」
「そっか…」
「この世にはさー、俺より価値のあるものばっかだから」
「…え?」
「だから俺一人が頑張っても無駄ってわけ。俺より上の奴らがいっぱい居っから俺一人居なくてもいいって事」
「……」
「それだけで無駄」
「……」
「別に、どうでもいい」
返ってきた言葉はあまりにも冷たいような言葉だった。
“別に、どうでもいい”
あたしが思ってた答えとほぼ同じ。
だからと言って、それで満足なんてしなかった。
その言葉を言った恭の心ん中を知りたくなってしまった。
何で、そう思う?
アンタは何を考えてんの?
1年前からあたしはずっとそう思ってた。
図々しいから聞かないけど、つまらなそうにするアンタのその瞳がやっぱ気になんだよ。
「…そっか。ごめん、変な事き聞いて」
「別に、」
やっぱ不思議な人だった。
冷たくなったり、優しくなったり、よくわからない恭の事。
謎が多すぎてイマイチ掴めない。
“俺より上の奴らがいっぱい居っから俺一人居なくてもいい”
それって、どう言う事?