澄んだ空の下で
「…ですよね」
そりゃそうだよね。
急に変わればおかしくも思う。
でも、なんとなくあたしとは正反対な世界の人なんだと思えば、多少接し方すら変わってしまう。
あんな、係わっちゃいけないって言われたら、余計にどうしていいか分かんない。
係わんなって意味が、いけない人なんだって事は分かるけど、でもあたしには彼をそう思う事が出来ない。
…それは何でか分かんないけど。
「ま、別にどうでもいいけど」
「…え?」
適当に返された言葉に思わず俯いていた顔を上げる。
その拍子に、あたしに視線を送っていた恭と目がかち合った。
「俺の事をどんな風に聞いたかは知らねーけど、アンタがそー言う風に思うのならそれでいいって事」
「…ごめん。よく分かんない」
恭が何を言いたいのか、分かんない。
「んじゃ、それでいいんじゃね?」
どうでもいい様な言葉を返した恭は掻いてた胡坐を崩しベンチに寝転がった。
心地いい風が恭のサラサラとした髪を靡かせる。
そしてその空を見上げる顔が何だか悲しそうに見えたのは気の所為だろうか。
だから、信じたくなかったんだ。
この人が危ない人じゃないって事を。